インターネットに夢中になっても,TVは付いている。TVを観ながらネットに接続しているながら族は多い。だが,TVを滅ぼすのはパソコンかもしれない…。
商品広告で世界最大の存在のプロクター&ギャンブル社(P&G)が,主要パーソナルビデオレコーダ(PVR,もしくはデジタルビデオレコーダ)メーカー2社と共同で,新しい広告形態の開発を進めている。従来のVTRでも,録画された番組のコマーシャルを飛ばすことはできたが,早送りされている間も,CMは基本的に視聴者の目に入っていた。PVRでは簡単にCMの平均時間である30秒先まで番組を即座に飛ばしてくれる。このようなシステムでいかにCMを観させるかは大きな問題なのだ。
ソニー社のバイオRは,パソコンのあり方自体を変質させた。いや,TVと,パソコンの,存在を,歪ませた。これはスタイルの壁をぶち破ったバイオノート以上の衝撃があったと思う。テレビ番組をハードディスクに録画し,それをパソコンで観る。音楽はCDとMDに進化したのに,ビデオはいまだにテープメディア。消えるべき運命のテープがここまで残っているのは次なる存在が現れなかったため。なら,このバイオRがその扉を開く可能性は高い,と思われる。
早送りなんて一瞬ですんでしまうし,記録させたしおりの個所も一瞬で呼び出せる。外部メディアを利用して,劣化させることなくいつまでも保存できる。インターネットTVガイドを利用すれば番組予約を間違うこともない。だが,パソコンでのデジタルビデオレコードが普及したとき,私たちはCMを見るのだろうか。CMが見られなくなるとTV番組は衰退していく,当然。その時が,TVが本当に衰退するときなのかもしれない。
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